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新たな指標金利移行への参加

アジア太平洋地域および世界中で、金融機関は新しい指標金利への移行に取り組んでいます。多くの金融契約でIBORが参照されていることから、指標金利の移行に関わるリスクを適切に管理することは非常に重要性です。また、規制当局が業界と協議を重ねる中で、移行期限の変更や新しい金利の流動性プロファイル違いも複雑さを深める要因となっています。

LIBORを集計・監督するICE指標金利管理委員会(IBA)は、1週間および2ヶ月物の米ドルそしてLIBORおよびEUR、GBP、CHF、JPYLIBORのすべてのターム物レートを2021年末に、そしてより広く使用されている米ドルLIBORを2023年6月30日引け後にそれぞれ公表停止することについて協議しました。米ドル指標金利に関しては、米国公的部門の次の発表がありました。この発表によると、既存の契約でこのLIBOR公表停止期日までに指標金利満期を迎えるものに関しては、その延長継続を許可することになりました。代替指標金利として、Secured Overnight Financing Rate(SOFR)が推奨されています。

SOFRインデックスは、米国債レポキャッシュ取引に基づいており、流動性が高く想定元本で1日あたり平均1兆ドルの取引があります。 このレポレートを指標金利としての参照はそれが代替することになるUSD LIBORインデックスと比較して徐々に増加しています。しかし、米国規制当局から出された最近の監督通達では、銀行は2021年末までにどの商品に対してもLIBORを新たに使用することを控えるべきであることが記載されています。

ICEは、LIBOR-SOFRやLIBOR-SONIA(スターリングオーバーナイトインデックスアベレージ)などへの指標金利移行において市場参加者をサポートする主要グローバル機関です。

重要なことに、金融契約の違いによるスプレッドやアセットアロケーションなどの市場ベースソリューションのICEの製品・サービスは、市場参加者のIBORベース先物、オプションポジションの移行をすすめるうえで有効な支援ツールとなります。これらのツールを活用することで、IBORかそれぞれのリスクフリーレートに、より円滑に移行できることのです。

デリバティブポートフォリオのリスク管理のために、ICEはいわゆるIBORフォールバックがポートフォリオのポジションに与える影響の分析を提供します。指標金利の移行日後、複利およびスプレッド・フォールバック予測に基づいてさまざまなシナリオ下でのポジション評価額を予想分析できます。 USD、EUR、JPY、AUD、SGD、GBP、CHF、およびその他通貨建市場で、フォールバックの影響を的確に理解してポジションを評価することが可能となるのです。

品質、コンプライアンス、信頼性はICEの市場データ、ニューヨーク証券取引所や6つの清算機関を含む取引所の運営においての最重要課題であり、ICEは提供するサービス向上に日々努めています。

アジア太平洋地域の見通し

アジア太平洋地域では、指標金利移行に関して各国の対処は3つの主要カテゴリに分類されます。 まず、既存の指標金利を完全に廃止して、新しいリスクフリーレート(RFR)に移行する国。シンガポールとタイがその例です。どちらもRFRの流動性の構築に取り組んでおり、中央銀行は新しい金利を参照できる変動利付債を発行または今後発行する予定です。 これらの国々はまた、最善の努力にもかかわらず期限後に新金利に切り替わらない既存の契約に対して、一時的なフォールバック金利を提供します。

第二に、日本、オーストラリア、ニュージーランド、香港などの国々の方針は、二段構えです。新たなRFRの定義はすでの決定済みですが、既存の指標金利を継続して使用することも合わせて許可されます。 これらの国々では、新しいRFRの流動性を確保することが課題となるでしょう。 すでに規制当局は、新しいRFRを参照する債券発行を後押ししており、またこの新しい債券取引参加者の範囲を拡大すべきであるとの指摘も出されています。 韓国やインドなどの国々では、指標金利改革への具体的な道筋について未定のままです。 地域全体で各国は移行においてさまざまな段階にありますが、共通課題が見受けられます。つまり、フォールバック方法の詳細や指標金利停止スケジュールなどが共通課題となっています。

日本はアジア太平洋地域の主要な金利スワップ市場として際立っており、その規模は40兆ドルを超えており、その大部分はIBAが管理するJPYLIBORにリンクしています。 JPY LIBORの代替指標金利に関する協議の結果、業界は以下の2つの代替案を選好しています。既存の東京銀行間取引金利(TIBOR)と無担保オーバーナイトコールレートに基づくリスクフリーレートである東京オーバーナイト平均レート(TONAR)の2つです 。 TIBORは、日本が持続的なマイナス金利環境のために将来を見据えた金利を作成しようとした市場の金利観を反映するベンチマークです。 これは、バックワードルッキングの傾向を持つRFRとは対照的です。 QUICK Corpは、期間参照レートである東京ターム物リスクフリーレート(TORF)の計算および公開エージェントに任命されており、同社は2021年半ばまでに取引で使用するための公式レートの公開を開始する予定です。

アジア太平洋地域では多くの市場関係者は移行に様子見の姿勢ですが、移行スケジュールの変更、そして新しい指標金利の流動性の違いを考慮しると、迅速な準備が必須です。 ICEは、市場とリスク管理に関する深い専門機関として、金融機関のコンプライアンスとの適合、そして競争力の維持のためにも必須とな新制度への円滑な対応を強力に支援します。