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日本におけるESGトレンド

2021年6月2日発表

Quick ESG上級執行役員 広瀬 悦哉氏、日本サステナブル投資フォーラム会長 荒井 勝氏、 ICE APAC債券データサービス責任者 Magnus Cattan氏、この分野の専門家を迎えて、日本の環境、社会、ガバナンス(ESG)の動向に関するQ&Aをお届けします。

日本は、企業間でESGの採用が最も急速に拡大している市場の1つです。 広瀬さんと荒井さんは、このトレンドを推進しているのは何だと思いますか?

広瀬氏:2014年に発足し、3年ごとに改訂される日本のスチュワードシップコードが主な原動力となったと思います。このコードはESG投資、そして投資家と企業のエンゲージメントを促進します。GPIFや保険会社など多くのアセットオーナーがPRIの署名者となったため、アセットオーナーから運用担当者に対して、ESG投資を増やすように要求が高まったのです。 フィデューシャリー・デューティー、つまり受託者の忠実義務の概念がサステナビリティを考慮すべく変わりました。例えば、2015年にPRIが発行された「21世紀のフィデューシャリー・デューティー」において「投資実務において、環境、社会、ガバナンスの問題を含む長期的な投資価値の推進要因を考慮しないことは、この義務から見て失格です。」と述べています。

荒井氏: 世界最大の公的年金基金である政府年金投資基金(GPIF)は、2016年にPRIの署名者となり、これに伴い外部の運用担当者に、ESG問題を統合して投資先企業と連携するよう要請しました。 この出来事が、現在の日本で見られているサステナブル投資の急速な増加に対する引き金となり、主要な運用担当者は、GPIFの需要を満たすためにESG投資チームを編成するに至りました。

最近の「ESGジャパントレンドウェビナー」の調査では、参加者は、投資分析と決定においてESGの問題を考慮に入れるようになった主な推進力として、顧客と投資家の需要を挙げていることがわかりました。荒井さん、18年間の責任投資を通じて、投資家や顧客の需要はどのように高まっていると思いますか? この重要の高まりを駆り立てているのは何ですか?

荒井氏:GPIFは2018年にワールドバンキンググループと発表された共同研究「環境、社会、ガバナンス(ESG)要因を債券投資に組み込む」の次のイニシアチブとして、ESG問題を債券投資に統合するためのさらなる措置を講じました。 それまでは株式投資に置いてESGが反映されていましたが、この発表により債券、不動産、プライベートエクイティ、オルタナティブなどの他の分野においても、運用担当者がESG問題を取り入れることを促したのです。

彼らの活動は日本の資産に限定されていますが、日本の資産運用会社はESG問題を投資に組み込む際に外国のPRI署名者に追いついた印象があります。 一部の企業年金基金は、資産へのESGの組み込みを開始し、個人投資家にESG投資信託ファンドを提供し、これは2020年に急増しました。現在、日本の大手運用会社のほとんどは、ESGへの取り組みが必須であると考えています。

この傾向は、日本企業による年次報告書および統合報告書でのESG項目の開示が改善していることにも裏付けられています。 一部の金融機関を含む日本のTCFD支援企業は2021年5月に201社に達しました。2020年には、CDP気候変動、水安全保障、林業におけるAクラスの日本企業の数はそれぞれ271、106、16でした。

同じ調査で、参加者の57%が、適切な定量的ESG情報の欠如が、投資分析と意思決定でのESG活用を制限する最大の課題であると感じていることがわかりました。

広瀬さん,データ提供者がこの情報を提供するにはどこが足りないと思いますか?

広瀬氏:多くのデータ提供者はESGスコアや格付けを提供しているに留まっており、日本でESGデータを公開している企業は限られています。そのため、企業のESG要素データの開示を増やす必要があります。 そうなってはじめて投資家はスコアや評価にそれほど大きく依存する必要がなくなるのです。

それに加えて、多種多様なESGに関する情報と指針が錯綜しており、投資家はESG自体に関して、そしていかにESGを投資決定に統合するかについて、理解をより高める必要があります。

マグナスさん、ICEはこの課題をどのように解決しようとしていますか?

マグナス氏:市場参加者がアクセスできるデータは増える一方ですが、データ作成方法にばらつきがあります。異なる会社間の比較を可能とするためのデータ作成過程において、一貫性に欠ける、あるいは不十分な手法で標準化されることがありえるからです。 当社ICEのESG参照データサービスでは、 財務的に重要である可能性がある詳細なESG属性と指標を提供します。 例えば、温室効果ガス(GHG)排出量の報告値、取締役会の多様性、従業員給付などで、これらのデータは企業および、広く開示されている第三者データソースから集められたものです。 当社ICEは、お客様の意思決定を支援するために、整理され、詳細かつタイムリーなデータをお客様に提供することに重点を置いているのです。

また、指標基準が存在しないために「ESG」の中で「ソーシャル」の分析および取組みが最も困難であることがわかっています。

マグナスさん、ICEはこの課題をどのように解決しようとしていますか?

マグナス氏:市場参加者がアクセスできるデータは増える一方ですが、データ作成方法にばらつきがあります。異なる会社間の比較を可能とするためのデータ作成過程において、一貫性に欠ける、あるいは不十分な手法で標準化されることがありえるからです。 当社ICEのESG参照データサービスでは、 財務的に重要である可能性がある詳細なESG属性と指標を提供します。 例えば、温室効果ガス(GHG)排出量の報告値、取締役会の多様性、従業員給付などで、これらのデータは企業および、広く開示されている第三者データソースから集められたものです。 当社ICEは、お客様の意思決定を支援するために、整理され、詳細かつタイムリーなデータをお客様に提供することに重点を置いているのです。

また、指標基準が存在しないために「ESG」の中で「ソーシャル」の分析および取組みが最も困難であることがわかっています。

荒井さん、ソーシャルデータポイントを分析する上で、どのような課題を経験しましたか?

荒井氏;ほとんどの投資家や金融機関以外の会社は、今まで気候変動の問題に焦点を当ててきました。 だからソーシャル関してはどのような事項が重要であるのか、そしてそれらをどのようにして評価すべきなのかに関して、ほとんど理解していません。

Eの問題には正確なデータが提供されていることが多いですが、Sの問題には多くの場合 企業自身による説明を比較して分析する作業が必要となってきます。日本の投資家にはソーシャルに関しては、GRIメトリクスを参照することをお勧めします

マグナスさん、ICEのESG参照データはこの課題の解決にどのように役立ちますか?

マグナス氏:実際お客さまからこの指摘をよくいただきますが、ソーシャルに対するメトリクスの定量化と測定が難しい場合が多いことを考えると、これは当然のことです。 ESG参照データサービスでは、従業員給付、ダイバーシティ(多様性)、インクルージョンポリシーなどの多くのソーシャルデータを企業自身および公開第三者ソースなどの複数のデータから取得します。 次に、これらをデータモデルに統合し、さらに統一形式で提供することで、さまざまな企業間でソーシャルデータを比較できるようにします。」

今後、日本でESGへの取り組みを加速させる上での主な課題は何だと思いますか

荒井氏:ESG投資と分析に関しては、日本ではまだ経験が不足しています。日本の投資家は、非定量的な情報を評価してポートフォリオに統合する方法を学ぶ必要があります。 今、いくつかの会社でジュニアチームメンバーにサステナブル投資に対する教育を始めていて、これは前向きな動きです。

広瀬氏: 日本でのESG投資を加速するために、ESGデータを開示する会社がさらに増えることを望みます。同時に、ESGとESG統合に関する機関投資家コミュニティ内の知識が増大し、PRIとスチュワードシップコードに署名する企業年金基金が増えてほしいと考えています。

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